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2015年10月4日日曜日

アイカツ!の布教と学びの文脈

再びあんにんです。
今日は、僕が感じたアイカツ!布教のジレンマをお伝えします(誰得!?)

 アイカツ!とは、データカードダス アイカツ! やTVアニメ アイカツ! のことを指します。



これは、アイドル活動の略で、ゲーム版は、衣装のカードを集めてオーディションに挑戦するゲームで、そのアニメ展開がされているというわけです。このアニメが、とてもとてもとてもとてもいいんですよ! まっすぐにひたむきにアイカツ!に励む彼女たちの姿を見ていると、心がどんどん浄化されていくのです。現代社会に疲れきったあなた、是非アイカツ!を観て欲しい。アイカツ!で心を浄化して欲しい。この前の151話見ました!?もう、あんなの無理でしょ。なんなの!?そもそも150話のラストの次回予告からしてほんとやばかったわけですけど、あぁ…あかりちゃん…大きくなって…ぼくは…ぼくは………
 おっとっと。本来ならアイカツ!の魅力について延々語りたいところなのですが、今回はみなさんも抱えている(?)布教の悩みを解明していこうと思います。かくいう僕も、日々布教に勤しんでいるのですがなかなかうまく行きません。その理由が、学びの文脈の言葉でバッチリ説明されてしまうのです!

 そもそも僕は、アイカツ!には映画から入りました。

だいたい本編が100話弱くらい進んだ頃に公開されたもので、ひょんなことから観に行くこととなったのです。その時にはアイカツ!はほぼ未履修だったので、ほとんど何も知りません。少しの予備知識とともに観に行ったのですが、観に行った瞬間、これは1話から全て見ないといけないと確信しました。
(この映画はどれくらい素晴らしいかというと、1話から見てきた大の大人たちが開始数秒で泣き出し、そのまま朝まで泣きながら語り明かすくらい素晴らしいんです。)
そこから一気に1話から見直し、最新話までおいついて、今に至ります。
 アイカツ!は本当に素晴らしいので、僕としてはいろんな人に布教したい。しかし、現在アイカツ!は154話まで放送されています。追いつくのは至難の業です。せめて映画だけでもと思っても、80話程度見なければなりません。なかなか人に勧めるのは難しいです。では、自分のように、まずは映画を布教して、それからアニメに入ってもらう…というのもあり得るのですが、映画はおそらく1話から積み上げてから観たほうがより楽しめるので、映画の魅力をみすみす削ることはしたくないのです。これが僕のジレンマです。ぐぬぬ。

 しかしこの悩み、まさに学びの文脈を作りあぐねている状態なのです。学びの文脈とは、自分はなぜ、何のためにこのような学習をするのかという意義づけのことです。今の場合は、「学び」 = 「アイカツ!の履修」と捉えて考えていきましょう。学びの文脈を考える上で大事な概念に、基礎から積み上げる学びと、基礎に降りていく学びがあります。基礎から積み上げる学びとは、学問的体系に沿った系統的な学習のことです。例えば、算数・数学のように、まずは加減乗除、そしたら中学で関数を習い、高校では微積分を習い…という学習です。今の場合は、1話からアイカツ!をコツコツ見ていくことに対応します。基礎から積み上げる学びは、体系的な知識を得やすい反面、いつ、どこで役立つのか、なんのために勉強しているのかが曖昧になりやすいという点が有ります。つまり、アイカツ!の場合には、1話からコツコツ見ていけば、キャラクターたちの相関関係や成長の様はよく理解できるのですが、人から勧められて、まだ自分で心からおもしろいと思っていない場合は、何のために見ているかわからないし、そもそも見るのもめんどくさいとなりがちです。
 一方、基礎に降りていく学びは、目的があって、その過程で必要感を持って基礎を学ぶ学習のことです。例えば、海外モノのゲームをしたい時に、ダウンロードサイトや説明文を読むために一生懸命英語の辞書を引いて解読するような学び方です。今の場合では、映画を観終わった僕が、アイカツ!の世界をより理解し、もっともっと映画を楽しむために1話から見返すことに対応します。基礎に降りていく学びでは、なんのために勉強しているかが明確で、そして比較的すぐに役に立ちます。
 一般的に、基礎から積み上げる学びより、基礎に下りていく学びの方が、勉強のモチベーションが高く、持続的に勉強しやすい傾向があります。なので僕は映画を観たあと一気にアイカツ!を履修することができたのですが、映画を観ない状態で布教するのが非常に難しいのです。

(学びの文脈や、ここに登場する様々な用語は

学ぶ意欲とスキルを育てる―いま求められる学力向上策」
http://www.amazon.co.jp/dp/4098373718/
にあります)

 ほら! すっきり! これは、一般のアニメの布教にも通じるものが有ります。最後まで全話を見たらめちゃくちゃ面白い!と思って人にBDを貸しても、なかなか見てくれない時って有りますよね。逆に、自分がそう思って借りた時でも、最後まで見れば面白いからとわかっていても、なかなか見られないこと有りますよね。これは、アニメを履修するという学びに対する文脈として、最後まで見れば面白いというのでは弱いということなのです。これは、中学生に向かって、英語を勉強しといたら将来役に立つよというのと等価なことなのです。当然勉強しない! 翻って、BDもそれなりに他のモチベーションがないと見られないのです。

 と、ここまで分析しといて、じゃあどうするかの対案は、ありません。ですが、一つ確かなのは、学びの文脈を構成してあげることができれば、あとはBDを渡すだけで布教が勝手に進むということです。逆に、学びの文脈が不十分であれば、BDを渡してもそれでは布教をしたことにはなりません。布教したいものがあるそこのアナタ、是非参考にしてみてください。




2015年9月18日金曜日

第1回は、学習動機の2要因モデルと学びの文脈について

 こんにちは、再びあんにんです。
 第1回は、9/15, 16にそれぞれ駒場と本郷で行いました(^^)

市川伸一さん著
「学ぶ意欲とスキルを育てる―いま求められる学力向上策」
の1章と2章の頭の内容を元に、みんなで議論をしてみました。

 特に盛り上がったのが、学習動機の2要因モデルを用いての、参加者の勉強動機の性向分析です。今日は、その紹介と、それを通して分かったことを皆さんにお伝えしたいと思います。

 まずは内容の説明です。学習動機とは、それぞれの人が勉強、研究をする理由のことです。例えば、試験がそろそろだから、悪い点を取ると叱られるから/良い点を取ればお小遣いがもらえるから、勉強自身が楽しいからなどです。このうち、初めの2つは外発的動機づけと言います。外発的動機づけとは、物質的な賞罰、称賛、叱責など、外から与えられる目標を目当てに学習するときの動機のことです。大事なのは、「外から与えられる目標を目当てに」というところで、さっきの例では、試験や、(親、教師に)叱られる、小遣いをもらえるというのが該当します。これは20世紀初等に広く用いられていた動機付けの方法で、例えば、体罰による教育などはこれが根拠に有ります。
 一方、勉強自身が楽しいからという動機は、内発的動機づけと言います。内発的動機づけとは、「知りたい」「できるようになりたい」と、学ぶことそれ自体の楽しさを求めて学習するときの動機のことです。この考え方は、1950〜60年代に広まったものです。
 あなたが勉強/研究/仕事をする動機は外発、内発のどちらが強いでしょうか? この性向を把握すると、自分がどういう場面でテンションが上って勉強に取り組めるかがわかるので、モチベーション管理に持って来いだと思います。

 さて、ここまでが、過去に用いられていた学習動機の分類です。これに対して、市川先生は学習動機の2要因モデルというものを提唱しました。これは、学習動機を外発的動機づけ、内発的動機づけの2項目だけではなく、学習の功利性と学習内容の重要性を用いて6つに分類するものです。



表1: 学習動機の2要因モデル
充実志向 訓練志向 実用志向
学習自体が
楽しい
能力を
鍛えるため
仕事や生活に
活かす
関係志向 自尊志向 報酬志向
他者につられて プライドや
競争心から
報酬を得る
手段として

 上段が、学習内容が重要な動機で、下段が学習内容が重要でない動機です。例えば、充実志向であれば、数学自体が楽しいから数学を勉強するというのが当てはまるのですが、同じ動機では英語は勉強できません。また、報酬志向では、試験で良い点を取ったら小遣いをもらえるから勉強するなどが当てはまりますが、この場合、試験科目が英語であるか数学であるかは問題になりません。また、この表で、右にあるものは学習の功利性が高く、左にあるものは学習の功利性はあまり高くありません。関係志向で、何となくみんなやってるから勉強する場合、それは何か利益を得るための行動ではありません。逆に、実用志向では、仕事に活かすために会計士の勉強をするなどが当てはまります。これは、仕事に活かして得られる利益が目的となります。ちなみに、左上に行くほど内発的動機付けに近く、右下に行くほど外発的動機づけに近くなります。

 あなたはどの動機付けが強いでしょうか? 実は、これらは少しアンケートに答えると数値化してみることができます。たとえば、人材開発・組織開発コンサルタント「ZOFTY」の日記学習同期の2要因モデルの記事に、チェックリストがあります。当てはまる動機に◯をつけ、それをカウントすると、自分がどの動機が強いかがわかります。これを元に、4件法のアンケートシートを作成し、メンバーで試してみました。あてはまるときに5、当てはまらない時に1、中間は2,4として丸をつけて、最後に総計しましょう。
(アンケートシートはここからDL可能。)
その結果、面白い考察が得られたので、少し紹介しようと思います。

 このアンケートは、「東大生」で「まるきゅうProject所属」で「この勉強会に参加する」ような人21人を対象に行いました。(※今後、主語が東大生になりますが、サンプリングバイアスがかかっていることには注意) すると、関係志向、訓練志向が突出して高い人はほとんどいませんでした。東大生になるような人は、関係志向で、なんとなくみんなやってるから勉強してきたという人は少ないようです。(開成とか駒場東邦とか、そういう東大に毎年100人とか出す学校だと違うのかも?) また、訓練志向の人が少ないのはどういうことなのでしょうか。東大を狙うような人は既に頭がいいから、頭を訓練したいという動機で勉強することは少ないのでしょうか。ともかく、この2つ以外の強い動機で勉強してきた人が多いそうです。学習動機は個人の性向なので、変えようとして変わるものではないですが、東大を目指す高校生の方は参考にしてみてはいかがでしょうか。

 また、自尊志向が高い人について、面白い考察が得られました。自尊志向とは、他人と勝負して勝ちたいから、人から尊敬されたいから、また、そうすることで自分を認めることができるからという動機づけを持つ性向のことです。東大生なので、それぞれ地元ではトップであったことが伺われます。特に若いころなどは、勝てるということと楽しいということとやりたいということが同値であったりします。(若くなくても?) そういう経験を積んできていれば、自然と自尊志向が強くなることは納得がいきます。しかし、そういう人も、東大に入ってきて、自分より圧倒的に勉強ができる存在に囲まれます。となると、自尊志向による動機づけはもはや通用しません。実際、東大に入ってぱったり勉強をやめてしまう人が一定数います。これが原因かどうかはわかりませんが、当てはまる人も少なくないのだろうと思います。よく、「東大までの人」なんて言われて煽られることもある我々ですが、自分の学習動機をうまく把握していたら、何らかの対策を打ってまた勉強にカムバックすることもできるかもしれません。
 また、より面白かったのは、大学に入るまでは自尊志向が強かったが、大学に入っていこう充実志向や実用志向が強くなったという人が複数いた点です。学問そのものの面白さを思い出したり、大学で出会う学問に惹かれたりして充実志向になったり、資格試験の準備のために実用志向が高まるなどです。私なんかは前者です。東大の数学科に進学してから数学の勉強が楽しくないという事態に見舞われました。今思えば、圧倒的に数学が好きで、数学がデキる人に囲まれ、自尊志向での動機付けが立ち回らなくなったからでしょう。あれから6年(!)、最近は、数学自体の面白さを大事にしながら研究しています。おそらく、充実志向にシフトしたのでしょう。

 さてさて、最後に、迷える大学生や、これから大学にはいる人に1つアドバイスしたいなと思います。

自分の学習動機の性向を把握しよう。できれば、そのなかの1つに頼り過ぎないよう心がけると良いよ!
1つに頼りすぎていたら、それが失われた時に立ちゆかなくなります。例えば関係志向が強く、憧れのあの人が一生懸命やってるから私も勉強してますなんて人は、今勉強ができている間に、勉強自体の面白さへの感受性を高めておくとか(充実志向)、将来それが何に役立つかを意識するとか(実用志向)しておけば、憧れのあの人との別れがあったあともうまく生きていけるんじゃないかななんて思います。
 また、今はなんとなく勉強のやる気がでないあなたも、自分の学習動機の性向が分かったら、うまく勉強のモチベーションを維持できるようになるかもしれません。


 思わぬ収穫が得られた第1回の勉強会でした。
 学習動機の2要因モデルのチェックリストを友達とやってみて、性向が近い人とどういう時にテンションが上がるか話し合ってみると、めっちゃ楽しいらしいです。(僕は司会をしていたので参加できなかった!悔しい!) 気が向いたら真似してみてくださいね☆